「調理場という戦場」(斉須政雄著・幻冬舎文庫)。
久しぶりに「非常に強い共感」を覚えた一冊。一気に読み切ってしまった。
著者は、港区・三田のフレンチレストラン「コート・ドール」の料理長。
23歳で単身渡仏してから12年間、6店での修行の様子と考えていたこと、現在の店で考えていることをおそらく口述でまとめた本。
「いやいや、仕事ってのは何でもおんなじだ!」と再確認できたのがとても良かった。
料理人としての修行の話であるが、すべての仕事、誰もの人生にあてはまるだけの含蓄とエッセンスが素晴らしい。
以下、ちょっと例を。()のなかは僕のコメントです。
「
メロンを吐くまで食べて、初めて美味しさが分かった。
」
(僕も、たくさん食べた経験がないと、そのものの本当の味は分からない、と思っています)
「
アイデアは1の力。それが使えるかどうか判断するのに10の力。そのアイデアを実現する生産ラインを作るのには100の力が必要だ。
」
(オペレーションまで持っていけないくせに、アイデアだけで偉そうにしている人は多いものです。一見、イケてる風に見えるしね:苦笑)
「
間に合わない料理は意味がない。
」
(いいものを作りたかった、と言って締め切りを守らない人は、仕事ではなくて趣味だと思うわけです)
「
採用の基準は、気立てと健康、この二つだけ。
料理人(技術者)は、その人の気立てと健康の器の大きさに見合ったレベルに達する。
気立てと健康の器の大きな人は、策を弄して他人を蹴落とすようなことをせずとも、直球勝負でブッチ切ってしまう。
」
(まさにパーソナリティを極限までそぎ落としていったら、この二つだと思います。この二つからあえてどっちかを選べと言われれば健康かな?)
などといろいろあるわけですが、実は、冒頭のトビラにあった下記でまずヤラレましたけどね(笑)。
「
腹が減ると肉体は精神になり、
腹がふくれると精神は肉体になる。
」
(ペルシャの諺より)
久しぶりの大ヒットでした。
でも、この人の料理が理解できるか、気に入るか、というのはまた別の問題なんですけどね。
ま、一度は食べに行かなきゃと思いますが、、、。
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