「マイク・ハマーへ伝言」(矢作俊彦)を20年ぶりに読み直した。
いつも、野球に行くために走っている首都高横羽線がクライマックスの舞台。
ま、でも、ひと言でいうと、「携帯電話のない世界の不良たちのお話」である(笑)。
クルマに排ガス規制がかかり始め、誰もが普通にタバコを吸っていた、でも、携帯電話がない良き時代。
なお、近著の「ららら科学の子」(90年代末期の渋谷の描写がイイ)や「ロング・グッドバイ」(2000年過ぎてからの関内の描写がイイ)では、携帯電話を小馬鹿にしながら、しつこく描いている。
最高だったのは、ロング・グッドバイで、神奈川県警の二村刑事(レギュラー・キャラクター)が初めて携帯電話を持ったけど、「この電話、買って以来、まともにつながったためしがない」とここ一番で使えない(相手が出ない、圏外、電池切れなどなど)ことを罵るシーンかな?
この作家は、70年代から今に至るまで30年以上第一線で、時代とともに自らを変化させつつ、変わらないものは変わらず、本当に素晴らしい。
この手のエンターテインメント路線を世の中に合わせて書き続けつつ、まったく違った仕事をいくつも手がけていて、それらが中途半端な感じになっていない。
当代随一の巨匠と言ってイイと思う。知名度は意外なほど低いんだけど。
東京に出てきた頃に最初に読んで、ずいぶん影響されたのだった。
最近、文庫本が出たので買ったのだが、注釈で「差別的表現がありますが、芸術性を鑑み、あえてそのままにしてあります」とか書いてある。
まったく、ややこしい世の中だ(苦笑)。
ま、解説にもあったけど、昔の不良は教養があったなぁ、、、(爆)。
気を遣う、カッコつける、空気を読む、ということに長けているのは、教養あればこそ、だ。
主人公のマイク・ハマーが意外に「調子悪いヤツ」だったのは再発見だった。
というわけで、「真夜中へもう一歩」も、再度、読み始めた。
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