PROSOUNDという1800円くらいするプロの音響技師やスタッフ向けの雑誌がある。最新号にデジタルマイクのレポートがあったので読んだのだが、これはなかなか面白かった。
デジタルマイクってのは、
「
マイクの中にAD変換機能を内蔵していて、デジタル出力できるマイク。価格は20万から100万円くらい。音を拾ったその場でデジタル化することで、ケーブル以降を全てデジタル伝送できるため、ノイズに強く、長いケーブル(400mとか)でもOK。デジタルエフェクトなども容易。
」
というようなマイクですね。でも、そんなことより、
「
低音と高音の音のスピード感の差がない
」
ってことが目からウロコというかなんというか。
そりゃそうだ。元々は、ダイヤフラムの振動を電気信号に変換したものなのだから、アナログだとどうしても低音が遅れる感じになる。
これは「録音」ってことについての技術やセンス、あるいは音作りの方法が、相当変わるのではないかと思わされますね。
となると、オーディオ的にはやっぱり最後はスピーカー。バックロードホーンの場合は低音稼ぐのに2メートル近いホーンを通すから、低音が遅れるのが味わいとも言えなくはないくらい(ま、はっきり言えば欠点ですね)だけれど、バスレフなんかでも穴から出る音はちょっと遅い感じがしますよね。
デジタルのハイスピード&全帯域シンクロな音に対応するスピーカってのは、まだ聴いたことがないですね。スピーカーはアナログだから、デジタル側でスピーカユニットの特性に合わせて、調整しちゃう方が早いのかもしれません。あとは、ユニットごとの特性に合わせて最適に駆動するマルチドライブか、アクティブ方式でスピーカー側にアンプを持たせてしまう、とか?
いずれにしても、どこまでデジタルにするか、って話ですね。
とはいえ、プロの録音現場とかじゃない、家庭などで普通に再生中心で使うオーディオってのは、デジタルだとあまり面白くないんですね。ユーザーとしては、つないでオシマイなので、アナログのような工夫の余地が少ないし、逆に言えば、なかなか目に見えて改善することがない。
ま、当然のことながら、スピーカーのセッティングは相も変わらず最大のテーマではあるけれど、入り口と増幅については、基本はCDプレーヤとアンプをつないでオシマイ。ケーブルに金を使うか、インシュレータにつぎ込むか、ということで、工夫というよりは素材や物量の世界に行ってしまうし、これはアナログの世界でもやってきた話。
結局、昔からのオーディオ好きは、アナログに戻ってくるんですね。知人でJBLのパラゴンをメインに鳴らしている人がいますが、オルトフォンのモノラルカートリッジとかで、昔のSP盤を再生して、奥行き感(最近のシステムは左右はよく出るけど、奥行きがあまり出ない感じがする)を楽しんでいますね。SP盤はノイズもあったりするけれど、回転数が速い(78回転/分)ので、情報量が多くて、たまにすごい音に出会ったりしますね。
で、いい音のSP盤からコルグの高音質の音楽プレーヤに取り込んで、持ち歩いたりする(笑)。
ま、ウエスタン・エレクトリックの真空管と昔のアルテックとかで固めるみたいな「ヴィンテージ・オーディオ」の世界(普通の人が見るとジャンクと見分けが付かない:笑)もあったりするけれど、それとはちょっと違う意味で「アナログ回帰」なのですね。
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