ホッケの煮付けが居酒屋にあるのかどうか知らないけれど、一国の総理がパフォーマンスで入った安い居酒屋で「ホッケの煮付け」を食ったらしい。
で、記者が「ホッケは焼くものでは?」と突っ込んだとか。
ま、訳が分かってない者同士の上滑りな会話で、なんとも物悲しい。
ホッケってのは、そもそもたいして美味い魚ではない。
干さないと身が水っぽくて締まりがないし、味もぼんやりしている。
ムシ(寄生虫)がいるので刺身では食べないし、そもそも刺身にして美味いわけでもない。
ホッケは開きにしてちょっと干したのが最高で、他の調理法は、ま、仕方なく、って感じなのである。
特に煮付けってのは、どん詰まりな北国の貧しさの象徴のような料理なので、
マガレイの煮付けなんかに比べると、相当底辺の食べ物と言える。
ホッケのフライってのも、貧しい食卓の物悲しさを象徴するような総菜だ。
煮付けもフライも、「ホッケの開き」さえ買えない、という状況がその背後に感じられて、なんともわびしいものなのだな。
子供の頃、
「かあちゃん、ふりかけで飯が食いたい」などと言うと、「何を言っているの! ふりかけなんておかずも満足にないような家の食べ物です! うちはおかずがあるんだから、そんなものは使わずにちゃんとおかずで食べなさい!」
という感じであったのだが、そのおかずこそがホッケの煮付けだのフライだので、、、(笑)。
せめて開きにしてくれ、なんだが、美味い開きはけっこう高い。
開いて、干して、と一手間かかってるし、そこそこ大きくないと見栄えもしないし脂も乗ってない。
だから、まともなホッケの開きはそんなに安いものではない。
開きは、オヤジがやっていた居酒屋で売れ残って、ちょっと臭うようになってお客さんには出せなくなったものを食べる事が多かった。ぷーんと臭うので「プン」と呼んでいた。
「プンだけど、元はけっこうな値段だったんだからガマンして食え」みたいな。
ま、腹も壊しませんが、プンじゃないホッケが食いたかった。
なお、小さいホッケは「ろうそくボッケ」といってかなりバカにする。脂も乗っていないしあまり美味くない。
東京に出てきたばかりの時に食べた新宿の「つぼ八」のホッケは、ろうそくな上に半プンだった。
「ひでぇものを出してやがるなぁ、、、」と思ったのを覚えている。
ジンギスカンはソウルフードだと言ってはばからないけれど、ホッケはちょっと違うなぁ、、、。
もうちょっと、こう、痛恨さが込もっているというかなんというか、、、。
ジンギスカンにはハレな感じがあるけれど、ホッケにはそれがない、ってことだなぁ、、、。
外で火を熾して焼いて食おう、って気にはならない。
ま、九州出身で裕福だった総理には絶対に分からない感覚でしょうね(笑)。
博多ラーメンでも食って、紅ショウガとか言ってりゃボロも出なかった、ってことですかね。
で、総理に「ホッケは焼くものでしょ」と突っ込んだ記者も、似たようなもんですね。
ホッケってのは、煮たり揚げたり、いろいろ痛恨なのですよ。
あ、飯寿司(いずし:麹で漬けるなれ鮨)でも、鮭、ニシン、カレイなんかに比べて、ホッケは最低ランクだった。当たる(食中毒)と激烈ってのもホッケの飯寿司。
ホッケ、なんだかちょっと可哀想ですね。
ま、でも、子供の頃は、とにかくホッケの煮付けとフライは、本当に嫌だった。
もう一生食わなくて良い、と思えるものの筆頭に挙げられるかな?(笑)