24日(金)の日経朝刊スポーツ面の浜田昭八氏のコラムは、ヤクルトの高田繁監督の話であった。
2004年から日ハムのフロントでGMとして腕を振るってチームを優勝するまでに育てたのに、その実績をすべて捨てて20年ぶりにヤクルト監督として現場復帰。去年は今ひとつだったけれど、ようやく今年はその成果が出てきた、というような話。
高田監督の選手時代のイメージは「巨人V9のレフト」なんだけれど、張本が移籍してきてレフトからサードにコンバートされた。
当時の高田のレフト守備は12球団でも最高水準で、三塁線を抜いたレフト線のヒットは、フェンス前で捕って絶対に二塁打にはしなかった。おそらくシーズンに何十本もの二塁打を単打に食い止めていたはずで、相手にとっては、得点圏に送るために送りバント一つ余計に消費させられる本当に嫌な外野手だったと思う。
チームとしても、これだけの価値を張本の打撃のために犠牲にしたんだから、当時の監督(ナガシマ。ま、自身の後継者を育てなかったツケでもある)ならではのセンスと決断だったと思うけれど、それだけでどこの球団でも飯が食えるくらいの芸を完全に否定された高田の心中は察するに余りある。「分かった、分かった。オレが三塁線を抜かれなければ、ナガシマさんの守備よりも堅ければ、張本の守備でもなんとかなるだろう」と思ったのではないか?
内野から外野(ヤンキースの松井はサードから外野。彼はサードだったら大リーグに行けなかったかも。ここはナガシマの慧眼だ)、投手から外野(最近だとイチローだけれど、あえて高田と同時代の王さんとスイッチヒッターの柴田を挙げておこう:笑)なんてコンバートは良くあるけれど、外野から内野ってのは本当に珍しいケースだと思う。ま、プロは別としても、高校生くらいまでの野球だと、内野手ってのは(ま、指導者も)なんとなく外野を低く見ている感じがなくはないし、投手なんかであればなおさらだ(ま、左利きだと投手以外だと一塁か外野になってしまうけれど、、、)。
で、もっと面白いと思うのが高田の打撃。とにかく引っ張る印象が強い。ファウルは全部レフト線。もちろん、彼ほどの野球センスであれば、ライト方向への流し打ちができなかったわけではなくて、自分がレフトなら全部単打だけれど自分が打ったときは二塁打だ、という意識だったのではないか、とさえ思わせる(きっとそうだろう:笑)。
当時のオールスターでよく覚えているのは、得意の引っ張りでレフト線のファウルの後にライト・ライナーで惜しくもアウトになったシーン。アナウンサーも心得たもので「右に左に見事に打ち分けて見せました」などと(絶叫系ではなくて)実況していた。
高田は、外野でゴールデングラブ賞を何度も獲得し、内野でも見事にコンバートされた年からゴールデングラブ賞を獲得した。職人的な選手(不可欠な脇役とも言う)のエピソードとして素晴らしいと思う。
巨人のV9時代の選手では高田が一番好きだったなぁ、、、。子供の頃に最初に買ったユニフォームの背番号も8だった。
というわけで、背番号8といえば、高田とその次に山本浩二であって、今の巨人の監督なんかは、ちょっと影が薄いのであるな(笑)。ヤクルトは、今年は3位につけていて「優勝も狙える」と監督が言っているらしい(2位の落合監督も予定のポジションだというし)ので楽しみだ(ま、本当はベイスターズ・ファンなんだが、今シーズンは言葉もない、、、:笑)。
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