一つ前のエントリにあるセミナーで講演予定の田中長徳氏がエッセイ「屋根裏プラハ」を連載中、しかも氏のツイートによれば、今回は特に編集者から褒められたらしいので買ったのだが、「野生時代」に別なの(チャイナマンズチャンス)を連載中の矢作俊彦がこっちにも相変わらずなの(フィルムノワール:二村英爾が香港に行っている)を書いているし、吉本隆明・ばななの親子対談はあるし、素晴らしい読み応えと嬉しい驚きのある、まさに「雑誌」でありました。
ま、新潮のような文芸誌というのは読むところが多くて当然なのだが、嬉しい驚きってのが雑誌の雑誌たるポイントであって、これはWebメディアにはなかなかないことなんだよね。
例えば一眼レフについてネットで調べるとするでしょ? 検索すると一眼レフやそれに関連するものしか出てこない。際限なく一眼レフばかりどんどん辿っていくことになりますね。ところが、アサヒカメラなんかを読んでいると、いきなりライカの情報なんかを突きつけられるわけです。それまでまったく興味がなかったレンジファインダー、しかもライカが急に欲しくなってくるわけで、これは雑誌ならではの作用だと思うのですね。
知らないことは知らずに済ますことができるのがWeb、でも、雑誌ってのはそうではない側面があって、それこそが価値なのではないかと思うわけですね(商売になるかどうかは別かもですが:笑)。
それにしても、吉本隆明の平易ないかにも普通のことばだけでできているこの一文には唸らされたなぁ、、、。これだけでも買った意味があったと思うくらいだな。「そうやって、みんなが深刻な感じになったときに、一緒になって深刻になるというのはあまりいい考えとは言えない」
娘のよしもとばなながスランプらしいのだけれど、「どんな土地に行っても、たくましくそれなりに淡々と(そういうことは意識しないんだけど)生きていけるのが人間である」ってことを濃厚に感じさせる小説(「サウスポイント」だったか)を書くような人にもスランプはある、ってのがなんだか納得というか安心というか。
というわけで、27日は「屋根裏プラハ」(上記新潮ではチェコワインの話など)を書いている田中長徳氏の講演ですので、これ、非常に楽しみなわけです(お申し込みはこちらから)。
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