とりあえず、首都圏に関しては、空から降ってくるものについてはもうあまり心配なさそうなので、あと気をつけたいのは食材、ということか。
空間線量については、3.11以前の測定値にほぼ戻っている(地上10mとかの3.11以前からの測定機器の値。同じところで同じ条件で比較することが大事)ようだし、地表は3月に降ったものがまだまだあるのでそれがどう減っていくかが問題。ホットスポットについては、3月に降ったものが降雨や風で溜まりやすいところに溜まっている状況で一時的に高くなっていて、一雨ごと、あるいは除染や清掃によって下がっていくと思われる。
浄水場や下水処理場の汚泥は、降ったものを水で流して集めて濃縮しているので、これはしばらく続くと思われるが、地表から移動したと考えるべき。降ってくるものが減っていれば、だんだん減るはずだが、いずれにしても、毎日出る高い濃度の汚泥をどうするかは、いままで想定していなかっただけに問題。神奈川県は8月一杯で、川崎市は6月一杯で保管場所がなくなる、という報道もある( http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20110624/dms1106241636025-n1.htm )。
100日以上経過して、半減期8日間のヨウ素がほぼ消えて、ようやく、行政も学校なども測定する気になってきたのは、ま、良い傾向。ここで、「測定しないのが不満」→「測定結果が意外に低いのが不満」→「測定結果が高いとさらに不満」というおかしなサイクルに陥らないようにしたい。
で、今後の問題は食材。下記のサイト、食材の安全性を判断するのに必見。文科省が発表した500品目だかなんだかのリストなどはただ並べてあるだけで何の役にも立たないが、このサイトは産地、食材など、クリックだけで検索できて素晴らしい。
http://yasaikensa.cloudapp.net/
既に、野菜にしても、熊本&福島などと、混ぜて売っている例も多数。牛乳なんかもそうで、混ぜれば濃度半分だ的なアプローチはたくさん見受けられる(ま、実際そうなんだが)。外食などでも、被災地のものを積極的に使うと宣言している会社が多数ある( http://www.asyura2.com/11/genpatu12/msg/106.html )。もちろん、判断は自分でしなければならない。
そして、今後、最も注意すべきなのが海、魚介類だと思う。次の二つの測定例を見ても、海水では希釈されるものの、食物連鎖による濃縮と蓄積、特に大きな魚や海底に棲息する生物についてはかなりの注意が必要と思われる。
■東電発表の海底土のストロンチウムのデータ
http://t.co/j1clw1l
■グリーンピースの調査結果(測定はフランスとベルギーの研究機関)
http://www.greenpeace.org/japan/Global/japan/pdf/20110526_MarineResearchpresentation.pdf
福島沿岸だけでなく、どこであれ、降ったものは、雨で流され、結局は海に出る。下水処理汚泥の汚染は食い止めていることの証明ではあるものの、しょせんは下水処理なので汚れは取り切らないし、そもそも雨水はスルーで海に出る(川の水が増水する:笑)。魚は、太平洋側のどこで獲れても、離れたところで水揚げして全力で出荷すると考えられる。東京湾などどうなっているのか、江戸前などと言っている場合ではないかもしれない(ま、高度成長期の公害で一回死んでるが)。
福島第一の核燃料がどうなっているのかは、推測するしかないのだが、もし、落下して融けているようであれば、収束の方法の有無によっては、水をかけながらじわじわ海に拡散させてしまう以外にない、のかもしれない。そうなれば、おそらく10年、20年の単位で、海に流し続けることになるわけで、地上は問題なくても海は汚染され、食物連鎖で濃縮され続けることになる。
それにしても、この状況で、検出限界以下をキープ(3月22-24日だけちょっとオーバー)している水道水(横浜の例)は、なかなかたいしたものだと思う。検出限界は10Bq/Lで、これで国際的には世間並み(チェルノブイリ近郊の基準値レベル)。米国や欧州だと、日常的に浴びる放射線量が多いことがあるなどもあって、0.11Bq/Lなんてのが基準値だったりするところもあるが、日本の水道水の基準値は200Bq/L。ということで、実際には、検出限界を判断基準にするくらいで丁度良いと思われるし、そうなっている水道水は、実はかなり安全とも言える。
こういう状況に皆が晒されているわけだが、農家も漁師も流通も外食も、みんな生活かかってるんで、ある面では仕方がないとも言える。
3.11以降、すべての人が以前よりも濃厚な放射能が周りに存在することを前提に生き方を見直さなければならなくなった。
で、いま、食っておきたいのは、いくら丼か?
米もいくらも、全部去年の秋のものだ。
この時期に北海道に旅行していくら丼を食って「さすがに新鮮!」などと喜んでいるような連中は物を知らんにも程があるのだが、今年ばかりは3.11以前の自然の恵み、ってことなんで、なんだか輝いて見えるような気がする。
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