アジ(鯵)って魚は、就職で東京に来てから本当の美味さを知った魚だ。当時(1980年代)の北海道ではあまり出回っていなかった。干物くらいはたまに食べたかもしれないが、、叩き(刺身)、塩焼きなんかは、未知の食いモンだった。
東京の定食屋とか居酒屋のランチなんかで「アジフライ」に出会ったのだが、そういうときに食うべき揚げ物は他にもあるし、何と言ってもそこはかとなく貧乏くさい感じが漂っていて、どうにも食う気にならなかった。
魚のフライってのは、北海道に居た頃にはホッケとか鮭とかでずいぶん食ったけれど、それらに共通するのは、ホッケなら開きにならない、鮭なら甘塩の切り身にならない、という「その魚の一番美味い食い方には耐えられない二線級の素材をどう誤魔化して食うか」的な豊かとはいえない家庭の惣菜であって、全く嬉しくなかったのだ。それを金を払って外で食うなんて、という感覚だ。
アジフライも、こういった魚のフライについての感覚を引きずっているのは間違いない。もっとも、居酒屋のランチ等に限って言えば、前日の残りで今夜にはもう刺身では出せない、なんて状態のモノを捨てずに商売につなげるという意味もあるとは思う(そういう店はどんどん減って、今は冷凍のアジフライがほとんどなのだろうが)。
ところが最近は、こういう時はこれは食わない(日が暮れてからのラーメン)、これはもう決別した(カツ丼やカツカレー)、なんて制約事項がけっこうあるというのもあって、アジフライをたまに食うようになった。「魚のフライ」だけに、積極的に選ぶというよりは、なんとなく消去法的な選択ではあるのだが、、、。
上の写真は「庄や」のアジフライ。小ぶりなのが2尾で480円。
メニューには「あなたはソース派? 醤油派?」などと書いてある。卓上には、七味と醤油とソースと爪楊枝しかない(塩や芥子はない)。たいてい、半分に醤油、半分にソース(美味いソースってのもなかなか難しいがw)で食うが、どちらも捨てがたい。
芥子も捨てがたいし、芥子マヨネーズも良いと思う。庄やの盛り付けは、キャベツの脇にマヨネーズってのがなかなか巧みだが(レモンがないのが良いと思う)、ここに芥子が欲しくなる。七味をかけたり醤油を垂らしたりすると、スルメを食う時のようになるw
「本日のお勧め」の刺身とかで燗酒を飲んで、ハイボールに切り替えてアジフライを1尾、残り1尾でご飯セット(ご飯、味噌汁、お新香で350円)なんてので丁度良い。なので、1尾を醤油、もう1尾はソースという食い方ではなくて、1尾の左右の身を醤油とソースで、ちょっとマヨネーズを付けてみたりして、などという食い方になる。
東名高速・鮎沢PA上りの富士見食堂(カウンターから富士山が見える)のアジフライもなかなか良い。ここは、豚汁が美味いのだけれど定食の類は、生卵とか余計なものが付いているしご飯の量も多いので、単品で豚汁、アジフライ、小ライスなどというオーダーになる(下の写真)。アジフライは注文受けてから揚げていて、肉厚でホクホクと美味い。
ほかに単品でコロッケだのメンチだのもあるけれど、醤油をかけることを考えると飯のおかずとしてはアジフライが絶妙な気もする。
いまだにランチとかで、アジフライ定食とあってもまず選ばないけれど、酒の肴とか単品を組み合わせるときの一品としてたまに食うようになった。沼津港の近くにアジフライが美味い食堂があるらしいので、今度、電車で(ビールが飲めないと残念なので)行ってみよう。
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