「ペッシェヴィーノ」というイタリアワインがある。イタリア語で直訳すると魚ワイン。
魚の形のボトルで「一度、見ただけで、飲んでいなくても、このボトルと名前は絶対に忘れない」という素晴らしいデザインとブランド力だと思う。でも、高級品ではなく、魚料理を食いつつ冷やしたこれをどんどん飲む、という普段着な酒なのである。
ペッシェヴィーノは、26年くらい前にイタリアに行った(その後は行ってない)ときに初めて知って初めて飲んだ、懐かしさと当時の思い出に直結するワインだ。イタリアで食った「スッパ・デ・ペッシェ(トマト味の魚のスープ)」「スキャンピ(手長エビ)のグリル」などがありありと浮かんでくる(パスタなんかは意外に覚えていないものだw)。
とはいえ、イタリア旅行での食いモンの一番の思い出は、ヴェネチアの深夜のピッツェリアで食った「トマトソースとむき身のアサリにバジルだけ」のカリカリに薄いピッツァなのだ。チーズを使わなくてもピッツァなんだ、と深夜に一人で今日学(← 当時はこういう物言いではなかったがw)した。これなら深夜に食っても軽い、とも思った。そのときは、ワインではなくて確かモレッティ(ビール)だったがw
あとは、フィアットUNO(レンタカーなのに5MTで最高だった)を借りてローマからアウトストラーダでナポリ、さらに先のアマルフィあたりまで日帰りドライブしたのが強烈な思い出だ。カーナビがない時代なのでローマ(ラウンドアバウトだらけの迷路の都市)のレンタカー屋に帰り着くのが大変だったんだが、そんなことよりも、イタリア人の「運転」というものに感動した。
4車線の信号待ちには6台が並ぶのが普通、しかもドライバーは全員、半クラッチで横のクルマを気にしている。青信号で誰が先頭で交差点の向こう側に飛び込むか、というゲームが日常なのだった。勝ったら鼻高々、負けたら次は頑張る、というのをドライバー同士が赤の他人なのに全身で表現してコミュニケーションしていた。
日本人のような「意地の悪い振る舞い」は皆無なのだった。
ドライビング・リテラシとはこれか、と思った。だから、不思議と怖い思いをせずに楽しく運転することができたのだった。レンタカーにしても、傷のチェックもしないのにウインカーは割れていて返却時もノーチェックだったし、満タン返しの燃料計チェックなんかもかなり適当な感じだった。ま、今もそうなのかは分からないけれどね。
ペッシェヴィーノは、最近、お世話になっているお店のイベントのテーマワインで、イベント終了後に片付けも終わってから、1本持ち帰りってことで分けてもらってきたのだった。久しぶりに脳内スワップ領域からいろいろなことがオンメモリに戻ってきた。イタリアは、また行きたいところの一つだな。