グレンモーレンジは、北米ロッキー山脈に広大な森林を所有している。
そこで伐採されたホワイトオークは、いったんジャックダニエルに預けられて樽にされ、3年くらいジャックダニエルを寝かせるのに使われる。
テネシーウイスキーやバーボンウイスキーには、原材料にコーンを使うことと、バージンウッドのホワイトオークで3年以上寝かせなければならない、というレギュレーションがある。
ジャックダニエルで使い終わった樽は、スコットランドに運ばれて、グレンモーレンジを寝かせるベーシックな樽となる。
グレンモーレンジ蒸留所では、これで10年寝かせて「グレンモーレンジ・オリジナル」を作る。このとき、ジャックダニエルから来たばかりの1回目の樽と、既に1回使った2回目の樽に原酒を仕込み、世代が異なる2種類の樽の原酒を混ぜて仕上げる。
さらにその後の2、3年、シェリー樽、ポート樽、ソーテルヌワイン樽などでフィニッシュさせて、ラサンタ、キンタルバン、ネクタドールなどのバリエーションを作る。
だから、ジャックダニエルあってのグレンモーレンジ、北米の森あってのグレンモーレンジなのであるな。
森がないスコットランドでたくさんのウイスキーが作られているのは、この「北米の森 → アメリカンウイスキー → 樽をスコットランドに」というサイクルがあるからだ。バージンウッドでないといけない、なんてのは、まったく大英帝国的なモノを感じさせるw
いま、机の上に意図せず2本あって、しみじみしている。
ちなみに、北斜面の陽当たりが悪いところに生えていた木の方が木目が詰んでいて、陽当たり良く育った木目の粗い木よりも、美味いウイスキーを作ることができる。かなり前の一時期、「グレンモーレンジ・アルチザンカスク」というバージョンがあったけれど、これは北斜面の樽だけで作った酒で、とても緊張感のある美味い酒だった。
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