人口200万の都市にヒグマが出るんだから、札幌ってのは侮りがたい。ま、熊の話とは別に、札幌が凄いと思うのは(ちょっと前に1泊した)、市内の中心部に「大通公園」ってのがあるんだけど、西4丁目から西11丁目まで、夏の約1カ月もの間、公園全部がビアガーデンになる、ってことなんだよね。
大通公園というのは、テレビ塔の下から1丁約100m間隔で道路で寸断されているグリーンベルトで、たまに噴水なんかがあるんだけど、その100mの区画ごとに異なるビールメーカーが独自のビアガーデンを展開している。大手は2区画使っていたりする。これ、東京でいえば、渋谷から恵比寿の明治通りが全部ビアガーデンになっていて、信号ごとにメーカーが変わる、といった感じだ。
西の端の11丁目は、「札幌ドイツ村」ということになっていて、ドイツビールとドイツ的酒肴だけでやっていて、これがけっこう込んでいる。札幌市民のビールリテラシー、マジで高いと思う。
1972年(昭和47年)の札幌冬季オリンピックのときに、ドイツのミュンヘンとビールを作っている同じ緯度(北緯43度だったかな?)の都市ってことで姉妹都市提携したのだけれど、ドイツ村はホントにドイツビールの品揃えが素晴らしい。フレンスブルガー、シュパーテン、ビットブルガーなど、これは、というのはほぼ全部ある。もちろんドイツワインもある。
バックヤードのテントの中がビア樽で埋め尽くされていて圧巻だった。さすがは人口200万人、熊もいるけど、人も多い。1カ月でどれだけビールが出るんだろう、と思う。
カラッとした空気、しかも噴水のそばなんかでドイツビールが飲めるなんて、札幌はホントに素敵なところだと思ったね。その後に行ったスペイン料理の店も抜群だったし、最後に締めた気軽な感じのバーも凄い賑わいだった。街に金が回っている感じがした。
オレは、札幌で生まれて育ったんだけれど、35年も離れていると、たまに行くと、多分、ずっと住んでいたら気付かないことが見えるのではないかと思う。
一番感じるのは、良い意味での腰の軽さ、しがらみのなさ、オープンな感覚だね。札幌、あるいは北海道ってのは、東京都職員上がりの元夕張市長を知事に選んでしまうような軽薄な土地柄なんだけれど、その「軽薄感」とオープン感覚が強みだと思うのだな。つまらんしがらみに左右されない、田舎モンならではの身軽でオープンな感じは、内地の頑迷な地域には望めないことだ。2月に行ったときも、札幌駅周辺から大通りまでの「新しい地下街」に驚かされた。
この感じは、JR東海はSuicaが使えない、という呆れた営業態度なんだけれど、JR北海道はおろか、札幌市営地下鉄でさえSuicaが使える、ってのに良く表れていると思う。葬式で集まった一族郎党が焼香の順番を巡ってつかみ合いの喧嘩になる、なんてこともないだろう。そもそも、葬式自体、まともにやらない気がする(両親が亡くなったときのオレがそうだったw)。
今回、ちょっと通過しただけのニセコでもそれは感じた。ニセコにオーストラリア人が集まってきている、ってのは有名な話だけれど、オレなりに理由を推測すると、オージーは大英帝国から追放された、あるいは逃げた歴史があるし、道民は内地から同様な感じで北海道に行った、ということで、なんとなくウマが合うのではないかと思うのだな。オレ自身、バーなんかでオージーとウイスキーの話をしていると初対面とは思えなかった、ってことが何度かある。
東京じゃなくて札幌で夏のオリンピックをやれば、大成功するだろうと思うし、夏と冬の両方をやった稀有な例になるとも思うww ま、でも、札幌オリンピックは、70m級ジャンプの金銀銅独占も印象深いけれど、とにかく、いまここに金を入れたら大発展するはず、という目論見が見事に当たった例だと思う。土建屋讃美のプロモ―ション・ソングでさえ嫌味にはならなかったww 既に、1972年とはちょっと街の段階が変わったかな、とは思う。
祖母(痴呆になってしまい94歳で亡くなった)は福井出身だったのだが、まだしっかりしていたころに「北海道は自由だから生きるのが楽だ」と言っていた。いま、その感じがすごくよく分かる。
コメント