井田リエ & 42nd. Street Band の「Street Talk」(1977年録音)。
井田リエ名義のアルバムは3枚あってこれが1枚目なんだけど、乾坤一擲 & バンドがニューヨーク 1st.コールのフォローをしているのが楽しくて仕方ない、という雰囲気が伝わってくる最高のアルバムだ。
実際、3曲目(セクシードライバー)はエリック・ゲイルのソロアルバム「ジンセン・ウーマン」に入っている「She is my lady」に松本隆が抜群の歌詞を付けていて、アレンジはボブ・ジェームスにインスパイアされたという但し書きまである。
4曲目(あいつは特別)のイントロはもろにリチャード・ティーのピアノをイメージさせる。さらに、マリーナ・ショウの「Feel like making love」をほぼ直訳なのに完璧な日本語の歌詞にしてカバーしている。
すべての曲で、日本語の歌詞が変なイントネーションにならずに素晴らしくメロディに乗っている。これ、70年代のニューヨーク起点のスタジオミュージシャンが脚光を浴びた音楽に共感しつつそれを消化した、日本のフュージョンの傑作と言える1枚だと思う。「42nd. Street Band」というバンド名からして、NYの「24丁目バンド」を想起させる。ま、でも、当時の札幌には「北24条バンド」が活動していた。
このCDは、2012年に復刻したのだけれど、これをきっかけに、30年以上音信不通だった井田リエ本人と関係者の間で連絡が取れたそうだ。参加しているミュージシャンは、既に鬼籍の人もいるようだけれど、ちょっとイイい話だった。
オレは、学生の頃にこれを貸しレコード屋で借りてカセットに録音して、当時乗っていたクルマ(バイトで買ったカローラ)でよく聴いていた。その後、カセットが行方不明になってしまって、mixiで知り合った人にLPを借りてMP3に落としてパソコンやiPodで聴いていた。
CDが復刻してからは、今のクルマでも聴けるようになった。夜にこれを聴きながらドライブしていると、学生の頃のことが次々に頭に浮かんでくる。学生の頃の中古のカローラは1.6リッターの4ドアセダンだった。今は、中古で買った1.5リッターの4ドアセダンだ。似たようなクルマで同じアルバムを聴いているのだから、この30数年はなんだったのか、とも思わないでもない。
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