クルマのタイヤというものは、標準装備の銘柄やサイズは基準のひとつとして、
・外径(あまり変わると速度計の誤差が大きくなる)
・LI(ロード・インデックス。耐えられる負荷であるが、所詮、制限速度は100km/h)
・ホイールハウスやブレーキなどに干渉しない
などについて問題がなければ、ユーザーが好みやクルマの性格に応じて自由に選択できるものだと認識している。車検にしても、あまりに無茶なもの(はみ出しが目に余る、速度計の誤差が大き過ぎるなど)やひどく擦り減っていなければ通るのが普通だ。
そもそも、この認識が間違っているのなら、以下の文章はまったくの無駄な話ではあるのだが、最近、非常に気になる事案に遭遇した。
いま乗っているクルマは、小型車としてはミニマムに近いサイズで、エンジンも1リッターに満たないにもかかわらず、「195/45R16」という一昔前ならスポーツカーかと思うような幅広で扁平なタイヤを履いている。エンジンや足回りなどを特にチューニングしてある訳でもないが、限定バージョンということで外観重視の結果だと思われる。個人的には、幅広扁平がカッコ良いとも思わないのだが。実際、同じ車種でもグレードやモデルによっては、「185/55R15」「175/65R14」などのタイヤが装着されている。
走行距離からして、そろそろタイヤ交換の時期を迎えているのだが、クルマの性格(と自分の好み)を考えると、195/45R16は太過ぎ、かつ扁平過ぎなのだ。ロードノイズもうるさく感じる。速度計が狂うのは、速度違反の取り締まり対策としても困るので、外径がほぼ同じサイズでもう少し細くてそこまで扁平ではないタイヤにしたいところなのだ。できればこれにしたい、という銘柄もある(その銘柄は195/45R16は用意されていない)。
そういうわけで、メーカー装備のサイズにもある185/55R15のタイヤとホイールを探しに行ったのだが、某タイヤショップでの対応に呆れてしまった。
まず、16インチを15インチにして1サイズ細くしたいという話を聞いた直後にタイヤメーカーに電話した挙句、メーカーの受け売りで「インチダウンはお勧めしない」などと言い始めた。同じ車種には15インチも14インチもある、と伝えても、「メーカーがお勧めしないと言っている」「標準サイズにしか交換しない」「そうでないと、保証できない」などと言い出す始末であった。
「タイヤ業界、いつからそうなった!?」というのが正直なところだった。「あまり嬉しくないタイプの客だってことですね。じゃ、他を当たります」といって店を後にした。
タイヤについては、特に最近のSUVなどに顕著なのであるが、自動車とタイヤのメーカーが結託して(いるとしか思えない)、安全性を大義名分として必要以上に太く扁平にしていると、常々感じている。太くて扁平なタイヤは高価格である。4本交換するとなるとひと財産だ。必要以上に高いものを買わされている、と思えてならない。そりゃ、メーカーに電話したら、少しでも高い方を売ろうとするに決まっているだろう。
太くて扁平なタイヤは、限界性能は高いかもしれないが、日常的な使用では良いことばかりではない。タイヤの銘柄や性格にもよるが、ロードノイズが大きい、乗り心地が堅い、ばね下重量が重くて路面の凹凸に対応しにくいなどのデメリットもある。前述した価格が高いというのも、多少ヘタってきても気軽に交換できないと考えると、かなりのデメリットだ。
以前、SUVに乗っていた時は、夏タイヤがあまりに幅広で重くてもっさりしているので、スタッドレスを買う時にタイヤショップに相談して、インチダウンして1サイズ細い外径がほぼ同じタイヤにしたことがある。結果、ハンドリングや接地フィール、ロードノイズなどが改善した。
さて、どうするか。あそこまで杓子定規な、自分では考えない対応が普通になっているのだとすれば、別のタイヤショップに行っても大差ないかもしれない。インチダウンは諦めて195/45R16のままでもう少し好みの乗り味の銘柄を探してみるか(ホイールは買わなくて済むので安上がりではある)。もっとも、自分のクルマに履かせてみないと、本当のところは分からないので、タイヤ選びはなかなか難しい。まだ限界まで減っているわけでもないので、もう少し時間的な余裕はあるのだが、なかなか悩ましいところだ。なお、タイヤは、この4月から値上がりしたらしいので、ますます先送り感が強くなるのであるが。
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