常陸野ネストビールを製造する木内酒造の「手作りビール工房」でオリジナル・ビールを造った。
エールだけなんだけれど、色、苦さ、香り、味わいなどを好みで決めて、職人さんの指導の下でそのオリジナルのビールを造らせてくれる。
数種類の麦芽の計量と粉砕、サンプルの香りを確認してのホップ選びから始まって、
・麦芽と水を良く混ぜて煮る
・温度を保って麦芽のでんぷん質を糖化させる
・一瞬温度を上げて酵母を不活性にして糖化を止める
・ホップを投入
・沈んだ麦芽のカスを使って麦汁をろ過して麦汁を澄ませる
なんて感じの工程をすべて手作業で進めていく。
ここまでやったら、冷却してビール酵母を入れ、4~5週間かけて発酵させてアルコール度数を上げて炭酸ガスを発生させる。
体験できるのは仕込みまでで、発酵/醸造工程は木内酒造にお任せ(酒造免許が必要だからだろうね)。数週間後に完成したビールを瓶詰めして発送してくれる。
4月21日(日)に仕込んだものが、5月末に届いた。
普段、大手メーカーのビールはロットによって味がブレているなどと、ウルサイことを言っている身としては、これは職人技であって品質をブラさないのは大変なことだ、と実感した。
このビール造り、最少ロットは45本で36,000円。
15リットルのタンクを使ってビールを仕込み、330mlの瓶で45本である。
ラベルは、用意されているテンプレートから選んで、文字だけを指定したもの。完全オリジナルのデザインにすることもできる。
今回は、ちょっと苦めでしっかりした味わいのアンバーエールにしてみた。アルコール度数は6%とちょっと高め。
ウラのラベルには、原材料は麦芽とホップだけだし、オリジナルレシピで造ったものだと書かれていて、なかなか感慨深い。
味の方は、思った通りの方向性に仕上がっていて、エールが好きな人なら美味いと思うであろうもの。
品質を維持することの難しさとともに痛感したのは、酒というものは贅沢なものだ、という点。
15リットルのビールを造るのに、麦芽は6キロ以上使うのだ。
ビールであれば、1カ月くらいで完成だけれど、これがウイスキーになると、まず蒸留して量が少なくなり、さらにその後で樽に詰めて何年も熟成させるわけで、熟成中にはエンジェルシェアでまた量が減るし、樽による味のばらつきもあるわけで、ウイスキーってのは本当に贅沢なものだ、ということを再認識した。値上がりしただの、品薄でイカンだの、味が落ちただのとウルサイことばかり言っては申し訳ない感じもなくはない。
ま、でも、ビール造りの工程を実体験したことで、麦汁がビールに変わっていく様子や、各工程とその役割が良く理解できたし、何よりとても面白かった。何回かやれば、好きなタイプのマジで美味いビールを作れるようになると思う。今回は、しっかりしたバランス良い味わいにできたけれど、もう少し苦くても良かったかな、ってのが正直なところ。ま、苦いのが好きなんでね。