前夜3時まで飲んでいたため4時過ぎに寝たにもかかわらず、6時45分に起床。寝不足で重いからだ(体重も重めだが)に鞭打って、陸上自衛隊の「総合火力演習」を見てきた。
「非売品」のチケットを演習場周辺に別荘を持っている人から1枚もらったのだが、このチケット、ネットオークションで1万円だったという。
大混雑の御殿場駅前から長蛇の列でバスに乗って演習場へ。開始予定の10時20分になんとか到着したら、ちょうど君が代が演奏されて演習開始のところだった。
既に満員。酒飲んでる人も多く、ま、花火見物のような感じで騒いでいた。売店もたくさん出ている。食べ物、飲み物、自衛隊カレンダー、土産(横須賀海軍カレーと
か)、迷彩ウエアなど。
演習は、若い男女のさわやかで歯切れの良いアナウンスで説明しつつの進行。いきなり「右手上空をご覧くださいっ!」とF-4EJ(改)戦闘機のロケット攻撃が始まる。通過と同時に山肌にオレンジの炎と黒煙が立ち上る。
その後、榴弾砲、迫撃砲、戦車、ヘリコプターなど、次々に登場し、40分間にわたって2キロ先の標的への命中精度などを紹介する。
中高域のみの無線音声での指示に従っての射撃。
(ガ、ピー:雑音っぽい)「155ミリ榴弾砲! 目標! 3段山! 撃てぇ!」
ドッグァワーン!!!!
(ガ、ピー)「命中! 着弾っ!・・・今ぁ〜!」
と、山肌に着弾し、数秒後に音が聞こえてくる。
着弾直前に破裂させるのもあって、
「異なる榴弾砲により、空中に富士山を描きますっ!」
(ガ、ピー)「撃てっ!」
ドッグァワーン!!!!
「おー!」(観客)
「これには、0.5秒以内での連携が必要であるなど、非常に錬度が要求されますっ!」
なとという感じ。
さすがに本物。ものすごい大音響と反動、空気の振動が伝わってくる。特に戦車の音はすごい。戦車自体も反動でもんどりうっている。それであの命中精度は驚きであ
る。誘導弾は1発だけ外していたが、ほかは全て標的に命中していた。空中に静止した対戦車ヘリの機銃掃射では、反動で少しずつ後ずさりする様子が非常に迫力があった。
大音響と振動のため、斜め後ろにいた幼稚園児(連れてくるのもどうかと思うが)は、「怖い、怖い」と終始泣いていた。私も、何かの間違いで観客席に飛んできた
ら、、、などと考えていた。
20分の休憩の後、後半へ。敵が富士山方向から攻めてきた、というシナリオに沿って、防御、攻撃準備、攻撃とフェーズに分けての作戦行動。
ま、敵はいないし、あんな目立つ方向から攻めてくるとも思えないのでアレですが、一糸乱れぬ行動とはこのことか。ヘリで装甲車やバイクを運んできたり、人がロープで降りてきたり、ま、見所はたくさんあった。
バイク経験者としては、フラットなダートとはいえ、時速70から80キロ(と見た)で走るオフロードバイクの上に立ち上がって銃を構えている(もちろん運転しながら一人で)のは、信じられない技であった。
戦車もヘリも、随所で作戦に沿って撃ちまくる。
落下傘部隊の降下も見られた。上空1500mから十数人の落下傘兵が降下。見事に客席前の広場に着地する、というもの。上空から見えるように日の丸を振っている集団もいた。これはこれで信じられん、、、(信じられない人、多いんです)。
落下傘兵のうち1人だけ、落下傘が十分に開かずに、かなりの速度ではるか手前に落下し、救急車が向かっていた。それなのに、「全ての落下傘が無地着地したところで、次の演習に入りますっ!」と、シナリオどおりに進行される。まさに大本営発表。観客は心配してそっちばかり見ている(優しいんだね。戦争なのに)。
帰宅後、カミサンからの一言。「そんなものは閑古鳥が鳴くようでないとイカン。見に行くこと自体が問題だ」---。確かに、右翼丸出しの人とか、単なるエンターテインメントとしか見ていない人などと区別はつかないんだけどね。
でも、カミサンはあの音と振動は経験していない。私は、自分の感覚として、あれを見てどう思うかが知りたかったのだ。かなり良くできた映画でも、本物に比べると戦闘シーンはウソっぽい。第一、スピードがまったく違う。映画では、ほとんどの爆破シーンはスローモーションである。でも、本物はぜんぜん違う。そして、あの発射音と炸裂音、空気の振動、地面を伝わってくる爆発の振動は、再生装置では出せない。
いずれにせよ、間違いなく今までの人生(オーディオ歴も長いが)で最も鼓膜が揺れた日であった。
この手のイベントは、世界に向けてのデモンストレーションでもあるわけだが、命中精度(誘導ロケットで1発失敗。われわれ素人には、全体に高精度に見えたが本当のところは不明)や落下傘での負傷者(負傷で済んだかどうかは不明)のことなど、誇示するという意味と馬脚をあらわすリスクの両方があるようだ。
ま、戦争はイカン、ということで。
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