携帯電話の料金プランではありません(笑)。レスター・ブラウンの最新の著作のタイトルです。これまでの化石燃料消費&成長型のプランAから、次世代エネルギーへ転換するプランBにしなければならない、という内容。
以下、11月12日の講演会の内容で出てきた数字を中心にざっと紹介します。
【現状】
・この2、3年で食料価格が高騰する可能性がある。理由は、世界的な地下水位の低下と気温の上昇。
・この半世紀で水の需要は3倍になった。
・中国、インド、米国で世界の穀物の半分を生産している。
・世界の水は、7割が灌漑、2割が工業用水、1割が生活用水に使われている。
・人は毎日4リットル近い水を飲む。しかし、穀物には1日最低2000リットル、穀物を飼料とする肉を作るためには4000リットルの水を必要とする。
・1868年に気象庁が観測を始めていらい、最近の過去6年が最も暖かい。
・海面が1m上昇すると、バングラデッシュの田の半分が水没し、4000万人が土地を追われる。100万人でさえ、難民としては受け入れてもらえないにもかかわらず。
・穀物の成長期に気温が1度違うと収量が10%減少する。
・世界は過去4年間にわたって消費が生産を上回っており、過去30年間でもっとも備蓄が少ない状態にある。
・2004年が凶作になると、食物の高騰は避けられない。
・中国は1998年が食物生産のピークだった。これまでにカナダの1年間の生産量に匹敵すだけの減少が見られる。
・中国の備蓄はあと1年はもつだろうが、その後は世界市場での買い付けが始まる。
・中国が頼るべき食糧生産国は現実的には米国しかない。
・土地の生産性は1945年以降、3倍になった。次は、水の生産性を上げるべき。
・世界の人口は21世紀中に30億人増えるだろう。しかし、人口が増えるであろう地域は既に水不足の状態にある。
・現在63億の人口は、悪い(最悪ではない)シナリオでは2080年に108億となり減り始める。楽観的なシナリオでも2045年に75億に達する。
・温暖化が続くことで、食料の収量が減り、消費者からのCO2削減圧力が大きくなる。
・今後2、3年で京都議定書の数値目標がまったくの不足であることがはっきりする。
・2015年までにCO2を半減すべきなのである。
・CO2削減のためには、
(1)白熱灯をやめる → 消費電力1/3に
(2)全ての車をプリウスレベルの燃費にする → 燃費が2倍に
この2点だけでOKではないかと思われる。数を減らすことなくCO2を削減できる。
【風力エネルギー】
・風力は、
(1)豊富
(2)安価
(3)無尽蔵
(4)世界中にある
(5)クリーン
(6)気候変動に影響されない
といった条件に恵まれている。これだけ条件の揃ったエネルギーは他にはない。
・1991年の米エネルギー省の調査によれば、最も“風が豊か”な3州(ノースダコタ、テキサス、カンザス)だけで全米の電気をまかなえるという。
・ただし、最近では技術が進み、3州だけで全米のエネルギーをまかなえるのではないかと言われている。例えば、タービンの効率、高さ(40m → 100m)など。
・コストも低下中。1980年代の38セント/1kwhから4セント(長期契約なら3セント)に下がっている。2010年には2セントになるだろう。
・欧州では2010年までに1億9000万人分(欧州人口の半分)を風力でまかなおうとしている。
・風力は安い電気をもたらす。燃料電池に使うための水素を作ることができる。
・水素は水と電気だけでできる。水素のジェネレータは既に確立している。圧縮することで、満タンで450キロ程度は走れるようになる。
【エネルギーの転換】
・エネルギー経済の転換には税制が最も重要になる。
・所得税を下げ、炭素税をかけていく方向である。
・ガソリンは生産から流通までの全てのプロセスに税金をかけ、排ガスによる健康被害や気候変動なども加味すべきだ。
・エネルギー経済の転換、リストラクチャリングの方法論は第二次大戦に学ぶことができる。ルーズベルト大統領は、1942年1月6日(真珠湾攻撃の1ヵ月後)の年頭教書で米国の産業界に兵器の生産目標を示した。4万5000台の戦車、6万機の飛行機、2万門の大砲、600万トンの船舶、である。同時に、自家用車や自家用トラックの製造販売を禁止した。
・米国の自動車産業は大恐慌時でさえ、300〜400万台の生産能力があった。こういった影響力が最も大きいところを動かすことで、数カ月で目標を達成した。
・日本が世界に貢献できることはたくさんある。
(1)太陽電池については世界最大の生産国である。これを途上国へ
(2)燃料電池車、ハイブリッド車に関しても、先頭を切っている
・9.11同時多発テロ以降、メディアも政治家もテロに目が向いているが、地下水の枯渇と気温の上昇から目を離してはいけない。テロリストに目を奪われているうちに環境要因で経済が崩壊、ということになれば、それはテロリストたちの目的が、彼らさえ思いも寄らないシナリオで達成されるということにもなるだろう。
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