「ハゼ釣りしてる子、3、4の5人」と唄にもあるように、秋はハゼのシーズンである。天気の良い秋の週末、年に1度、ハゼを釣りに近所を流れる川にでかけることにしている。
ハゼは、まだ暑い時期などは半日で100尾(束釣りという)以上も釣れる魚であるが、秋が深まるとともに型が良く(サイズが大きく)なり、数は減ってくる。
近所の川は、アザラシやイルカが出現したことで有名な川である。自宅近くは、河口から7、8キロ程度のところで汽水域であり、潮の干満で水位がかなり変動する。お世辞にもきれいとはいえないが、コイ、フナ、ボラ、セイゴ(スズキの幼魚)などの魚影は濃い。
近所の釣具屋さんで餌(養殖のミミズ)を仕入れる際にハゼの様子をちょっと聞いてみると、「そうねえ、もう11月だし、どこでもいるって訳じゃなくなってきてるんで、いろいろ釣り歩いてみた方が良いかも」とのこと。時期的にはちょっと遅かったようだ。
ハゼ釣りの「仕掛け」は、ウキを使う場合もあるし、リールを使って遠くに投げ込んで広い範囲を探るなどいろいろだ。今回は、リールのついていない「のべ竿」に糸と針、という最もシンプルな仕掛けで釣ってみた。
約4メートルの竿にミチイト(竿に結ぶ糸)は太さ1.5号。ヨリモドシ(糸がらみを防ぐ金具)を介して、針は丸セイゴ(針の形)の8号とした。ハリス(針に結ぶ糸)は1号。ハリスにオモリとなるガン球(鉛の玉)を2、3個。
シンプルな仕掛けゆえ、小さい魚ながらプルプルという小気味良いアタリがはっきりと楽しめる。
ハゼといっても非常にたくさんの種類(2000種を超えるという)があるが、一般に釣りの対象となるのは「マハゼ」である。海でも釣れるし、汽水でも釣れる。マハゼ以外にお馴染みのハゼの仲間といえば、アナハゼ、サビハゼなどをはじめ、ゴリ、ドンコ、ムツゴロウ、ヨシノボリなどがある。
ハゼは、天ぷらや佃煮などにして食べると美味い魚である。ちなみに、釣りの対象となる小さな魚で天ぷらにするのは、ハゼ以外にもギンポ、メゴチ、シロギスなどがあって、いずれも美味い。個人的には、天ぷらにするならギンポ、メゴチが一枚上手だが、ハゼ、キスも捨てがたい、というところである。キスは刺身も素晴らしい。
釣りの趣(釣趣)という観点からは、シロギスとハゼに分がある。シロギスは、初夏から秋にかけて、砂浜での投げ釣りのメインターゲット。ギンポは狙って釣れる魚ではないが、堤防などでの嬉しい外道。メゴチも投げ釣りでよく釣れるが、アタリの感触が良くないのでシロギスの外道扱い、という位置付けである。
釣果は、のんびりと2時間半くらい釣って17尾。「まあまあ」である。
持ち帰ったハゼは、うろこを落とし、頭と内臓を取り、背骨を外してから、衣をつけて揚げる。軽く塩を振って食べると、ふっくらとした身がなんともいえない。もちろん臭みなどはまったくない。川の汚れは気にはなるが、年に一度の秋の楽しみだ。
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