先週の日曜日(21日)、「多摩川ランフェスタ」という多摩川河川敷のマラソン大会に出て10キロ走った。春は「東京シティロードレース」、秋はこの多摩川と、年に2回は10キロを走ることにしている。
走るようになったきっかけは、自宅近くでお世話になっているバーでの会話だった。マスターと常連客数人が、「1年で一番美味いビールを飲むため」に走っていたのに誘われたのである。それが5年くらい前のこと。当時、運動らしい運動といえば草野球をやっていただけ。野球とジョギングでは使う筋肉が全然違うし、野球は心肺機能はさほど問われないので、誘われて「じゃ、出ますか!」と反射的に言ったは良いものの、かなりの不安があった。
しかも、子供の頃から長距離走は苦手、というか嫌いで、高校の時は野球部だったにもかかわらず、全校マラソン大会の際には途中のチェックポイントの係員などをやって誤摩化していたほどなのだ(ま、運動部にありがちなんですが、ひどい腰痛だった)。まさかこの歳になって10キロ走るようになるとは思わなかった、というのが正直なところだった。
「10キロなら誰でも大丈夫」とは言われたものの、とにかく、完走できないと“調子悪い”ので、トレーニングをするようになった。最初は、3キロくらいから始めて、5キロ、7キロと距離を伸ばし、大会の2週間前に生まれて初めて10キロをノンストップで走った。これで、「完走だけはできるだろう」という自信が持てた。今でも、大会前には必ず10キロを1回は走っておくようにしている。
で、ウイスキーの話である。
大会前の1カ月くらいは、日曜の夕方、競馬が終わった頃にトレーニングである。近所の川の土手を30分から1時間くらい走って、汗だくで帰ってくる。当然、ノドも乾いている。時は既に日曜の夕飯前、日も暮れている。ここで飲むのが、ウイスキーなのである。
もちろん、ストレートだのロックだので、シングルモルトだアイラだ、という訳ではない。バーボンか国産ウイスキー、いずれも高くはないものをソーダで割って飲む。水分補給のためにちょっと薄めに作る。レモンかライムをきゅっと絞るとなお良い。これが、すっきりしていてキレが良く、“変なビール”のように後味がべたべたしなくて、非常に具合が良いのである。
“ノド越し”という点では、ビールにかなわないかもしれないけれど、冷えたソーダと氷で作るキンキンに冷えたソーダ割りは、かなり爽やかである。ソーダで割ると、独特の甘みのようなものが感じられるようになり、それが蒸留酒であるウイスキーの刺激を和らげてくれる。運動後にビールを飲むと尿酸値が上がりやすい、などとも言われるので、その点でも「少し安心かも」という感じもなくはない(笑)。
で、今年の10キロのタイムであるが、ま、時速10キロ程度というオソマツなものである。でも、走り始めてから年々落ちていたタイムが、今年はちょっと改善した。例年よりも“急仕上げ”だったことを考えると上出来かもしれない。
ゴールの後は、走ったメンバーで銭湯に行って汗を流した後、居酒屋で打ち上げ。ジョッキで乾杯すると、いや、これがやはり「1年で一番美味いビール」なのであった。ま、ビールはビールで美味いのだ。走ったのは7人、打ち上げは15人、というのはご愛嬌である。
大会で走るのは年に2回だけれど、休日の午後はなるべく数キロのジョギングをするようにしている。そして、シャワーを浴び、ウイスキーのソーダ割りにレモンを絞って飲む。汗だくでバーや居酒屋に行く訳にもいかないので、自宅ならではの飲み方、味わい方とも言えると思う。
※この連載は2004年から2005年にかけて、nikkeibp.jpサイトに掲載したもののアーカイブです。
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