ようやく、普通に寒くなってきた。今年の秋・冬は気温が高く、東京では12月に入ってから25℃になったりしたので、いつまでも半袖のボタンダウンやポロシャツで過ごしてきた(スーツの時は、さすがに長袖のシャツですが)。電車の車内がまた暑くて、気が付けば「車内で一人だけ半袖」なんてことがしょっちゅうだった。
どう考えても、東京で電車で移動するのに「毛糸の帽子にダッフルコートにマフラー」なんて不要だと思うのだが、体感温度や発汗機能は人によって相当違うらしい(笑)。
で、12月にもかかわらず一人で汗だくになっていたら、とても季節外れだなぁとは思いつつ、真夏の海辺で飲むウイスキーのことを思い出してしまった。これも、ウイスキーにまつわる忘れられないシチュエーションの一つなのである。
最近の鎌倉あたりの「海の家」は洒落ていて、ウッドデッキの上にデッキチェアとテーブルが並べてあったりする。照りつける日差しの下で汗をかきながら飲むには、キリッと冷えたビールも良いのだが、氷をたっぷり入れたウイスキーの水割りも捨てがたい。とにかく、氷だけはクーラーバッグにたくさん用意しておいて、海の家に陣取る。
ツマミは冷凍の枝豆。凍ったままでテーブルの上に放置しておくと、日差しですぐに解凍されて食べ頃になる。タレの焼き鳥やポテトフライなんかも良い。反対に、サラダや寿司の類はすぐに傷んでしまうし、ぬるくなって美味しくない。
氷であるが、かなりたっぷり持って行ったつもりでも、途中でなくなってしまうのが普通である。そんなときは、海の家にかき氷を頼んでシロップは不要と言う。かき氷にウイスキーをかけて、シャカシャカやっていると、だんだん冷たい水割りになってくる。
実は、個人的には寒いのは大歓迎なのだが、暑いのはあまり好きではない(今年の夏は暑くて参りました)。でも、真夏のウッドデッキで風に吹かれてウイスキーを飲む、というのはなかなか捨てがたいものなのだ。気の合う友人と、競馬とか音楽といった他愛のない話をしながら半日くらい、という時にはなかなかの過ごし方だと思う。
酒を飲んで海水浴というのは危ないのであるが、そもそも北国育ちで泳げない。つまり、海に行っても飲んでるだけ、なのだ。実は、これが幸いしているのである(笑)。
今年もあとわずか。今度の日曜日は有馬記念である。休暇を取って日本を離れ、南半球や南の島に旅行という予定の方もいらっしゃるかな、と思ってあえて季節外れな話を書いてみました。
※この連載は2004年から2005年にかけて、nikkeibp.jpサイトに掲載したもののアーカイブです。
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