田舎での一人暮らしを始めて数カ月。光熱費などの公共料金についてもようやく使用料が安定し、生活のコスト感も見えてきました。電気は20Aに契約変更してちょっと節約。ガス代の高さに驚きつつも、風呂は露天風呂のある近所の温泉に行ってリフレッシュしながらガス代を節約。風呂上りのノンアルコール・ビールが楽しみです(冒頭の写真は、日没後の真夏の富士山。山小屋や登山者のライトがたくさん見える)。
厨房ではパスタをゆでる鍋に常に湯が沸いている。煮込みやパスタの仕上げには火を使う。忙しい日は、ランチタイムが終わる頃にはシャツが体に張り付いて汗びっしょり。心はもう、富士山の見える露天風呂に――。
というわけで、涼しいところ(これを書いている8月下旬、夜は気温20℃で完全に秋の気配)での一人暮らしを始めて数カ月。住み始めたアパートでは、光熱費などの公共料金についても、ようやく使用料が安定し、生活のコスト感も見えてきました。地域差があることではありますが、今回は生活コストの話を少し。
静岡県というところは、電気は東京電力、電話はNTT西日本、ガスは地元の会社、JRは東海といった具合で、関東と中部の境目に位置するためか、なかなかに複雑な状況にあります。事前に細かいことはロクに調べませんでしたが、住んでみなければ分からないことってのはけっこうあるものです。
JR東海なので、ICカードは「Suica」ではなく「TOICA」。例えば東京のJR東日本の駅からSuicaで電車に乗って、静岡県内の御殿場や三島まで戻ってくると、降りる時に自動改札機は通れません。精算窓口で駅員さんにSuicaから料金を引き落としてもらいます。東京に向かう時は、Suicaでは入れないので目的地までの切符を買います。
電気は東京電力なので、基本的に東京や横浜と変わりません。気温30℃を超えるような暑い日はほんの数日、基本的に涼しいのでアパートではエアコンは不要(付いていますが、まず動かしません)、電熱調理台は使わないし電子レンジもほとんど使わない、ドライヤーは持っていない、ということで電気の契約は当初は30Aだったのを20Aに変更。基本料金は月額300円くらい安いだけですが、月々の電気料金は2000円前後で済んでいます。
電気に関しては、横浜でワンルームマンションに住んでいた時も同様でした。最近の賃貸物件は単身者向けでもたいてい30Aなんですが、個人的には一人暮らしで30Aは無駄と思っていて、自宅兼事務所でさえ20Aにしていました。仕事で昼間居ないのであればなおのこと。
東京電力も、原発停止で電力供給に不安があるためか、契約アンペア数を下げる方は迅速に対応してくれるようです。実際、基本料金を下げようとしているユーザーなのに、ホントにすぐに対応してくれました。逆に上げるほうは、なかなか対応してくれないのだとか。自分で上げる方まで確認したわけではありませんが、そういう話を聞きました。
御殿場で高いのは、ガス代です。電気は東京電力ですがガスは地元のガス会社。料金は、実感レベルで東京ガスの2倍近いのではないかと思います。アパートでは、ユニットバスが狭くてかえって疲れる(昔の棺おけみたいですよね:笑)ので、風呂に「お湯張り」はせず短時間のシャワーばかりなのですが、それなのにえらく高い。
横浜に住んでいた頃とほぼ同じシャワーの回数で、コーヒーやお茶、カップ麺などのためにお湯を沸かしたりもしないのに、3月に引っ越した当初のガス代は横浜の2倍近くの請求でした。ざっくり言うと「1回200円のコインシャワー」といった感覚です。
最初はかなりびっくりして、原因は何かをいろいろ調べてみました。例えば、給湯器の温度設定。初期設定は60℃になっていましたが、そんなに熱いお湯が必要なことはないし、シャワーのときにお湯の栓だけ(角度で温度調節できる混合水栓ではありません)をひねって痛い目に遭っても困るので、ガス会社に連絡して42℃に設定を変更してもらいました。酔って帰って来たときなどに、お湯だけ出して大変なことに、という例がけっこうあるそうです。明らかに60℃は高すぎると思いました。
でも、42℃に下げた後も、翌月の料金は大して下がりませんでした。真夏の暑い時期になって水道水の温度が多少上がったせいか、あとはシャワーの水勢をあまり強くしないように意識したなどの影響か、ようやくなんとか納得できるレベルにまで落ちてきました。
ネットでちょっと調べてみたのですが、会社の規模に差があり東京ガスとは原料調達能力がまったく違うために高い価格で原料を買わざるを得ず、それが料金に反映されてしまう、ということのようです。
ちなみに、営業時間中は四六時中お湯を沸かし、食器洗いで給湯器を使っている店のガス代は、アパートのガスよりは割安感があります。お客様の数にもよりますが、月に7000円から1万円の間。給湯器は40℃の設定、パスタをゆでる鍋を小さく(とは言っても1回に10人分くらいはゆでられますが)したりして、節約を意識してはいます。
このように、アパートのガス代は安くはないのですが、私が住んでいるアパートの場合は、水道代がかからないのがちょっと救いです。横浜の頃は、上下水道合わせて2カ月で2980円でしたので、ガス代が高い分、相殺されてトータルのコストでは良い勝負、といった感じです。
ちなみに水道は、地下水(富士山の伏流水)を使った簡易水道で、給水のためにソーラーシステムを使っているとのことです。富士山の水を汲み上げた簡易水道という意味では、別荘地にある店の水道も同様です(こちらは水道代がかかります)。どちらの水も冷たくてなかなかおいしいと思います。水がおいしいのは、田舎の良いところですね。
「風呂」という観点では、アパートのユニットバスは狭くてガス代も高いのであまりうれしくないわけですが、幸いなことに富士山は火山ですから、近所にはいくつか温泉があります。入浴料はかかりますが、ガス代のように月単位で一気に請求されるわけではないですし、何よりリフレッシュ効果を考えるとコストを補って余りあるのです。実は今回の田舎暮らし、温泉が楽しみで引越してきたという側面は間違いなくあります(温泉に関しては事前調査済みでした)。
余談ですが、若い頃はオフロードバイクで山の温泉を巡るのが好きでした。1日6湯をハシゴしたなんてこともあります(笑)。今でこそ常識的になった源泉掛け流しの見分け方(湯船から湯がいつもあふれている、お湯が不自然に大量に注ぎ込んでいない、温泉を飲めるようにコップが置いてある、などなど)なども、既に30年くらい前から意識して温泉を選んでいました。個人的には、2008年の宮城・岩手内陸地震で土砂ダムのために水没してしまった「湯の倉温泉」が忘れられません。
御殿場市、裾野市には、天然温泉の日帰り入浴施設がいくつかありますが、普段は次の2施設を利用しています。
- 「ヘルシーパーク裾野 美人の湯」(3時間まで520円。木曜定休)
- 「御胎内温泉」(3時間まで平日500円、土日祝は700円。火曜定休)
アパートからクルマで10分以内で行けるうえに、どちらも広い露天風呂とサウナがあります。天気が良い日には露天風呂から富士山が見えます。公衆浴場のことゆえ写真はありませんが、その点はご勘弁を(笑)。
休みの日に明るいうちから風呂に入ったり、休憩時間にサクッと入りに行ったり、ヒマな夜に店をちょっと早く閉めて入りに行ったり(美人の湯は20時半まで入場可能)。クルマには、いつでも行けるようにバスタオルなどを常に積んでいます。とにかく、広い風呂で手足を伸ばしてリラックスできるのが最高です。
特に美人の湯は泉質が抜群。とても“効き”ます。翌朝、明らかにカラダがスッキリしているのが実感できます(ま、若い頃には感じなかった感覚ではありますが)。高張性弱アルカリ性温泉という温泉成分の濃いお湯で、国内でも数少ないのだそうです。御胎内温泉のほうは、ジェットバスなど風呂の設備が充実しています。
風呂に入った後はビールが飲みたいわけですが、クルマでないと行けないところなので飲むわけにはいきません。とはいえ、風呂上りに併設の食堂でノンアルコール・ビールを飲んで、冷やし中華なんかを食べていると、なかなか幸せな気分になれるものです。まったく簡単な人ですが……(笑)。
細かい話ですが、ノンアルコール・ビールは美人の湯は自販機で210円、御胎内温泉は売店で160円です。入浴料金と併せて、なかなか微妙な価格設定なのが面白いところです。商売柄、こういう価格設定などが気になってしまうのです。
この「ノンアルコール・ビール」という代物、クルマでの移動が前提の田舎暮らしには不可欠ですね。以前は、そうまでしてビールまがいのものを飲みたいのか、と心底バカにしていたものですが、クルマでないと行けない日帰り温泉での風呂上り、つい、出来心で飲んでしまったら、最近のはけっこうイケるんですね。メーカー各社ある中でも、特に「アサヒ ドライゼロ」のデキが良いと思います。味はもちろん、泡もしっかりしています(店でもドライゼロをご用意しています)。
店が忙しかった夜、美人の湯にはもう間に合わない、なんてときに、片付けものなどが済んでから、ノンアルコール・ビールを1杯飲んで一息つく、というのもなかなか悪くないものです。アパートまでクルマで15分、なぜガマンできんのか、とも思いますけどね。
というわけで、ガス代を節約するという目的もあって、近所の温泉を利用するのは「風呂のクラウド化」とこじつけておきましょう。次回は、田舎暮らしに不可欠な「コンビニ」について書いてみたいと思います。それでは次回まで、ごきげんよう。
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