クリエイティブ・コモンズ(http://creativecommons.org/)を著作権管理に使う例がようやく出てきました。
まず、8月7日にNTTが発表(発表資料へ)した「Cliplife」(http://cliplife.jp/)がそうです。
もう一つは、東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)が、テレビ番組「BlogTV」をYouTubeなどの動画共有サービスで配信を始める、というニュースです(インプレスの記事へ)。記事の下のほうに書いてありますが、ここでも、配信した動画をクリエイティブ・コモンズで管理するということです。
クリエイティブ・コモンズというのは、米スタンフォード大学のローレンス・レッシグ教授が提唱した新しい著作権管理の仕組みです。従来のように著作権をガチガチに守るというだけでなく、「著作物を共有し、再利用することでさらなる可能性を追求する」というスタンスの考え方です。著作者の意向に応じた柔軟な再利用が可能になるように、いくつかのタイプの著作権管理方式を規定しています(クリエイティブ・コモンズのサイトへ)。
例えば、こんな感じです(クリエイティブ・コモンズのサイトから引用)。
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あなたは以下の条件に従う場合に限り、自由に
* 本作品を複製、頒布、展示、実演することができます。
* 二次的著作物を作成することができます。
* 本作品を営利目的で利用することができます。
あなたの従うべき条件は以下の通りです。
あなたは原著作者のクレジットを表示しなければなりません。
* 再利用や頒布にあたっては、この作品の使用許諾条件を他の人々に明らかにしなければなりません。
* 著作[権]者から許可を得ると、これらの条件は適用されません。
上記によってあなたのフェアユースその他の権利が影響を受けることはまったくありません。
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クリエイティブ・コモンズによる著作権管理の動きが米国で始まったのは、2002年のことでした。レッシグ氏の著作「コモンズ」とも相まって、当時はかなり話題になったのですが、実例が出てくるまでに4年もかかっているんですね。
しかも、まだまだ初期の事例で、システム的な裏づけが十分というわけでもありませんし、クリエイティブ・コモンズで想定していることが全てできるようになっているわけでもありません。インターネット上でしっかりしたシステムがこれをサポートするようになるまでには、まだまだ時間がかかりそうです。
そして、この枠組みでのコンテンツ流通をリアルなビジネスにどうつなげるが、という大きな課題があるわけです。さまざまなトライアルを重ねていくしかないのだと思います。
私が関わっているあるプロジェクトでも、コンテンツの著作権をクリエイティブ・コモンズで管理しようという案が出ています。いろいろなところで、同じような取り組みが始まっていると想像しています。