遅くなりましたが、本年もよろしくお願いいたします。
さて、今年のテーマを考えてみると、「メディアフリー」ということが言えるのかな、と思っています。
メディアというといろいろな捉え方がありますが、まずは、記録媒体ということから考えています。
このことを意識し始めたのは、オーディオがきっかけでした。
iPodの内蔵DAコンバータ(DAC)をバイパスして、デジタル信号を取り出し、高音質のDACで再生すると格段に良い音がする、という製品がありました。
先ごろラスベガスで開催されたCES(コンシューマ・エレクトロニクス・ショー)でも、高級CDプレーヤ・メーカーのワディアからiPodのデジタルアウト(最新のiPodではサポートされたようです)を取り出す製品が出たりしていました。
日常のオーディオ環境において、CDというディスクは使わない、ということになってきています。
オーディオや音楽の世界は、CDというフォーマットのメディアからiTunesなどのデジタルデータの流通にシフトしてきています。それが、テクノロジの面でも、製品の面でもはっきりしてきました。
さらに、CDクオリティを超える超高音質のオーディオ規格として、「1ビット・オーディオ」があります。
CDはサンプリングも再生周波数も規定されており、CDを使う限りその仕様が限界になります。
例えば、クラシックやジャズのLPを丸ごと1ビット規格の最も音質の良いサンプリングでエンコードすると、数ギガ・バイトになります。
一応、ディスクメディアに格納しようと思えばできなくはない容量ですが、コピーのスピードなどを考えると現実的ではありません。
ブロードバンド環境で、寝ているときや何かの処理のバックグラウンドで、ダウンロードするのが最も現実的な方法ではないかと思われます。
音質を追求していくと、容量や規格という面からディスクというメディアは使い勝手が悪く不要になるわけです。
しかも、現実的にコピーに時間がかかりすぎると言うことで、ある程度のライツ管理の意味も出てきます。
余談ですが、昔のSP盤などには、素晴らしく音が良いものがありますが、これを1ビットでデジタル化すれば、劣化のない状態を保つことができます。
問題は、レコードの盤面の傷やノイズです。
もし、同じレコードを2枚用意できれば、同じところに同じ傷がついている確率は極めて低いので、デジタル化した音源を重ねることで傷を補正できることになります。
天体写真などで、よく使う手ですが、これはちょっと目からウロコでありました。
音楽のCDだけではなく、ビデオやDVDに関しても、ディスクというフォーマットのメディアとしては、ブルーレイが最後になるかもしれないですね。
カメラなどは、既にメディアフリーと言ってしまって良いと思います。
デジカメであれば、大容量のメモリーカードに、残り撮影可能枚数などを気にすることなくどんどん撮影し、PCやネットのアーカイブにためておきますね。
銀塩であっても、たいていは現像時にCDにも焼いてしまい、フィルムというメディアは使わなくなりつつあります。
すべてがデジタルデータになることで、リアルなモノの制約、フォーマットや規格の制約などから解放され、それを使うときのクオリティをユーザーが自由に選択できるようになるわけです。
デジタル化とメディアフリーは表裏一体なのだと思います。
ということで、1ビット・オーディオをはじめとして、このあたりをテーマとしたプロジェクトが進行中ですので、経過をお知らせして行きたいと思っています。