昨夜、元サイボウズの高須賀氏が米国で開発している「LUNARR」ベータ版の発表会がありました。
LUNARRというのは、「紙のウラとオモテ」をメタファーにしたWebアプリケーションで、「コミュニケーション・ツール&ドキュメント管理ツール」です。
Webページやスプレッドシート、ワープロ文書やビデオなど、コンピュータのアプリケーションで扱うものであれば何でも、それを「オモテ」にします。そして、その「ウラ」にメール機能が付いています。
例えば、これまでであれば、プロジェクトのメーリングリストにプレゼン資料などのファイルを添付したメールを流しますが、「ファイルのウラにMLのアドレスを書いて流す」ということになります。
実際に使ってみないと分からないかもしれませんが、メールのやり取りの履歴やオモテのドキュメントの修正履歴などがメタデータとして残るので、従来、ファイルのバージョンやメールの所在など、人力で頑張っていた部分を相当なところまで代替することができます。
「ドキュメントに対するメタデータがコミュニケーションを経ることで付加されていく」というものです。
これまでのツールでは、メールによるコミュニケーションとドキュメントの内容は必ずしも連携できていなかったのですが、LUNARRではドキュメント単位にコミュニケーションが束ねられることになるので、コンテクストの明確なコミュニケーションが可能になります。
高須賀氏が、昨秋、日本に来られたときにお会いして話を聞かせていただいて以来、新しいコミュニケーション・ツールとしてのLUNARRに注目していました。
現在のところSNSのような招待制のサービスですが、もし、お使いになりたい、という方がいらっしゃいましたら、私と面識がある方に限って招待させていただきます(招待枠が50人までなので)。
正直なところ、インタフェース等を含めて分かりにくさはありますし、文句なく使いやすい、というわけではないと思いますが、「ウラとオモテ」というのは、とても可能性を感じさせる概念です。
また、日本のマーケットでかなりの成功を収めたサイボウズを飛び出して、新しいことに挑戦しているという点でも、素晴らしいプロジェクトだと思います。
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昨夜の発表会は、メディアの会社に在籍していたときに良く出席した発表会とはずいぶん趣が異なりました。
まず、あきらかに記者が少ない。
ブロガーやその知り合いなど、高須賀氏とその周辺の方々の人脈を中心に参加者を集めたようです。
久しぶりにお会いする方も何人かいらっしゃいました。
IT系の記者発表会の常連記者、ベテラン記者などの姿が見えなくて、確かめてはいませんが、私は最年長の部類だったのではないかと思われます(苦笑)。
そういうことも前提にあったのでしょう。
参加者全員に「iPod nano 8GB」がプレゼントされ、プレスキットの中には1500円のiTunesカードが隠されている、という趣向のイベントでした。
さすがに、メディア企業に在籍していると、iPodとかカードとかもらって帰る訳には行きませんよねぇ、、、。
こんなところでも、旧来のメディアへの説明はプライオリティが下がっているのかな、と思わされたのでした。